賃貸市場の課題~入居者を取り巻く環境

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経営を考える上で重要なことはいくつかありますが、お客様を理解することが大切であることは言うまでもありません。賃貸物件のお客様である入居者が抱える悩みや問題点を理解し、今後の賃貸経営にお役立て頂きたいと思います。

・高額な引っ越し費用、賃貸物件への不満

賃貸物件への入居者が抱える問題、不満は主に二つあげられます。それは「高額な引っ越し費用」と「賃貸物件への不満」。「高額な引っ越し費用」は、地域によっても格差が生じてます。具体的にはどれぐらい差があるのでしょうか。賃貸物件への不満にはどのようなものがあげられているのでしょうか。市場調査のデータとともに確認してみましょう。

・高額な引っ越し費用・・・・・東京は全国平均の1.7倍

全国平均家賃 53,565 東京平均家賃 76,648
転居時費用計 210,695 転居時費用計 356,592
敷金 53,565 敷金 76,648
礼金 0 礼金 76,648
仲介手数料 53,565 仲介手数料 76,648
前家賃 53,565 前家賃 76,648
引越代 50,000 引越代 50,000

(資料:総務省 平成20年住宅土地調査)

左が全国平均、右が東京の平均家賃。地方によっては、礼金や更新料が発生しない地域もあり、東京での転居時の費用は全国平均と比べて1.7倍にもなります。進学や就職で上京した際に家賃水準の高さや入居時の初期費用を知って、その高さに驚かれる方も珍しくはありません。最近では東京においても、敷金礼金0円の物件や、仲介手数料半額または無料といった物件も増えてきました。しかしながら、まだまだ敷礼一ヶ月ずつ、仲介手数料一か月分という物件が多数を占めており、東京周辺の転居時の初期費用は地方と比較するとまだまだ高額と言えるでしょう。

 ・賃貸物件への不満・・・持ち家28%、賃貸42%

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(資料:国土交通省 平成20年住宅総合調査)

国の調査によると、住まいへの不満は持ち家28%に対して、賃貸では42%と高い水準にあります。賃貸物件への不満で上位にあげられるのは騒音や遮音性などの音の問題、ついで防犯などのセキュリティに関するものです。一般的に賃貸でよくみられる木造や鉄骨造のアパート。壁式構造とラーメン構造の違いはあるものの分譲マンションでよく見られる鉄骨鉄筋コンクリートや鉄筋コンクリートは木造や鉄骨造と比較すると遮音性に優れます。

また分譲では当たり前の設備となっているオートロックや防犯カメラ、モニター付きインターホンなども、賃貸では築浅の物件や、高級賃貸マンションに限定されています。分譲と賃貸の構造や設備の違いが賃貸物件への不満となって調査数字に影響しているのは間違いなさそうです。

 ・高額な引っ越し費用・・東京は全国平均の1.7倍
 ・賃貸物件への不満・・・持ち家28%、賃貸では42%

分譲と比べて、引っ越しも容易に感じる賃貸物件。分譲と比べて劣る遮音性能や防犯などの観点から引っ越しを決断したとしても、いざとなるとその転居費用は安くはありません。仮に転居をしたとしても、同じ性能水準の物件ではやはり同様の不満が繰り返されることは容易に想像がつきます。

賃貸物件への入居者は、最終的には仕様の高い賃貸物件への引っ越しや新築物件の購入を検討するなどして、物件への不満を解消し、憧れの我が家を実現しているようです。最近では中古を購入して、自分の好みや価値観にあわせてリノベーションを施し、高い満足を得る例も増えてきました。借りる物件のグレードを変更したり、購入して満足を得る方々がいる一方で、依然として賃貸物件に住み不満を抱える方々が多数いる状況は解消されていません。

大家さんが提供しているのはまさに賃貸物件。ここに不満を感じている入居者が多くいるということは、この不満を理解して解消できる大家さんと、変化しない大家さんとの違いを明確にできる可能性を秘めている証左と言えるでしょう。

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